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7/6~【ニナ・メンケスの世界】

NINA MENKES
ニナ・メンケスの世界

7月6日(土)~7月12日(金)※16(火)休館

自らプロデューサーや撮影を務め、過激なまでに独自の美学を貫き通し、ガス・ヴァン・サントをはじめ多くの映画人から愛されるアメリカの孤高の映画監督、ニナ・メンケス。手掛けた作品は数々の国際映画祭に招聘され、シャンタル・アケルマンやケリー・ライカートらを引き合いに称賛されてきたものの、我が国では長い間劇場公開されることはなかった。近年、初期作品がアカデミー・フィルム・アーカイヴとマーティン・スコセッシ設立の映画財団(The Film Foundation)によって修復されるなどさらに評価の気運が高まり、このたびついに代表作3本が初の日本公開決定。

《上映作品》日によって上映作品が異なります。
7/6(土)・7/12(金)
マグダレーナ・ヴィラガ 2Kレストア版
7/7(日)・7/10(水)
クイーン・オブ・ダイヤモンド 4Kレストア版
7/7(日)・8(月)・11(木)
ブレインウォッシュ セックス-カメラ-パワー

上映時間はこちらへ

『ニナ・メンケスの世界』公式サイトninamenkesfilmfes.jp


マグダレーナ・ヴィラガ 2Kレストア版※
Magdalena Viraga

ある娼婦が生きる世界と内面を描いた初長編

1986年 / カラー / 90
監督・製作・脚本・撮影:ニナ・メンケス
編集:ティンカ・メンケス、ニナ・メンケス
出演:ティンカ・メンケス、クレア・アギラール

©1986 Nina Menkes ©2024 Arbelos

殺人の容疑で、ひとりの娼婦が捕まった。彼女の名前はアイダ、そしてこうも呼ばれる──マグダレーナ・ヴィラガ。刑務所を、ネオンがきらめくダンスホールを、プールサイドを、彼女が長い時を過ごす寝室(ブドワール)を横断し、時系列を曖昧にしながら、映画は女の肉体的、精神的な細部をとらえ、孤独な<囚われの女>アイダが生きる血濡れた世界と、内なる心の世界を描き出してゆく。静かに沈んだブルーの映像のなか、いくつかの言葉は何度も祈りのように繰り返され──私はここにいる、私はここにいない、私を絶対に縛らないで──突き刺すような美しさとなって燃え上がる。主演は、メンケスの5本の映画に出演した最大の協力者にして実の妹、ティンカ・メンケス。

※アルべロス・フィルムとアカデミー・フィルム・アーカイヴによるレストア版。
 共同提供:EOS ワールド・ファンド


クイーン・オブ・ダイヤモンド 4Kレストア版※
Queen of Diamonds

ラスベガスのディーラーの日常を追った代表作

1991年 / カラー / 75
監督・製作・脚本・撮影:ニナ・メンケス
編集:ティンカ・メンケス、ニナ・メンケス
出演:ティンカ・メンケス、エメルダ・ビーチ

©1991 Nina Menkes ©2024 Arbelos

ラスベガスで生きる女性ディーラー、フィルダウス(インドネシア語で“楽園”の意)の倦怠に満ちた日常を描いた傑作。昼間は瀕死の老人を介護し、夜はカジノでカードを配る。時には砂漠に浮かぶ湖に友人と出かけたり、恋人に手を上げる隣人に悪態をついたり、行方不明になった夫の消息を探ろうと施設に足を運ぶものの、放たれる言葉や歌声は誰にも届かず、何も変容しないまま一日が過ぎる。眩暈がするほど煌びやかなネオン、無機質なアパートメント、純白のシーツやウェディングドレス、業火に焼き尽くされる大木。大胆な構図でとらえたショットがことごとく美しく圧倒的で、永遠に続くかのような反復とそこかしこに横たわる暴力に感覚が麻痺していく。

※アカデミー・フィルム・アーカイヴと映画財団によるレストア版。

 資金提供:ホブソン/ルーカス・ファミリー・ファウンデーション 共同提供:EOSワールド・ファンド


ブレインウォッシュ セックス-カメラ-パワー

BRAINWASHED: Sex-Camera-Power

「男性のまなざし」を解き明かすドキュメンタリー

2022年 / カラー / 107
製作・監督:ニナ・メンケス
撮影:シェイナ・ヘイガン 作曲:シャロン・ファーバー
出演:リアノン・アーロンズ、ロザンナ・アークエット、キャサリン・ハードウィック

© BRAINWASHEDMOVIE LLC

映画というメディアがいかに「Male Gaze=男性のまなざし」に満ち、当然のこととして受け止められてきたか、そして、その表現がいかに我々の実生活に影響を及ぼしているか。この事実と問題点を、ラング、ヒッチコック、スコセッシ、タランティーノといった有名監督の名作から2020年代の最新作まで大量の映画のクリップを用いて、メンケス自ら解き明かしていく傑作ドキュメンタリー。フェミニスト映画理論のパイオニア、ローラ・マルヴィをはじめ業界で活躍する女性陣も次々とインタビューに登場、彼女たちの真摯な闘いの言葉が力強く響きわたる。本作を見終わったあとは、あなたの映画へのまなざしも永遠に変わるかもしれない。