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エリック・ロメール監督特集上映 六つの教訓話 デジタル・リマスター版

優柔不断で、内向的で、自意識過剰な男たち。
奔放で、意地っぱりで、あっけらかんとした女たち。
パリの街角で、南仏のリゾートで、湖畔の避暑地で、男と女はすれ違い、恋をする。

滑稽であるがゆえに貴く、凡庸であると同時に美しい、男と女の恋模様。のちに、80年代の〈喜劇と格言劇〉シリーズ、90年代の〈四季の物語〉シリーズへと成熟してゆく巨匠エリック・ロメールが、構想10年をかけ、いちばん最初に作りあげた連作が本特集〈六つの教訓話〉です。ふたりの魅力的な女性のあいだで翻弄されながら、運命の愛を求め、ひとりよがりの夢想と葛藤に思い悩む男たちの可笑しさが、6作品揃いました。

さらに〈六つの教訓話〉シリーズに加え、本特集では、「カイエ・デュ・シネマ」誌に映画批評を寄稿しはじめた頃の若きロメールが、ゴダール、シャブロルらと共に撮った才気あふれる短編6作品も上映いたします。

プログラムごとの料金となります。

公式サイト https://rohmer-sixcontesmoraux.jp/

※通信70号掲載の上映スケジュールと一部変更がございます。

〈六つの教訓話〉シリーズ
Aプログラム
…10/25(月)18:20
モンソーのパン屋の女の子
La Boulangère de Monceau

© 1962 Les Films du Losange

製作・出演:バーベッド・シュローダー
撮影:ジャン=ミシェル・ムリス、ブリュノ・バルべ
1962年/フランス/スタンダード/モノクロ/24
学生の“私”は街でよく見かける美しい女性、シルヴィーに恋をする。友人にそそのかされその気になった“私”は、思い切って声をかけるが、その日から一切彼女の姿を見なくなってしまった。シルヴィーを探し求めて彷徨う“私”は、パン屋で働く女のこと仲良くなって…。<六つの教訓話>シリーズの第一作に当たる短編。盟友シュローダーが製作と主演を兼ねているが、“私”のモノローグはベルトラン・タヴェルニエが担当。

Aプログラム…10/25(月)18:20
シュザンヌの生き方
La Carrière de Suzanne

© 1963 Les Films du Losange

出演:カトリーヌ・セー、フィリップ・ブゼン、クリスチャン・シャリエール
撮影:ダニエル・ラカンブル
1963年/フランス/スタンダード/モノクロ/55
真面目な薬学部1年生のベルトランにとって、気ままに生きる悪友ギョームは憧れの対象。そんなギョームが付き合い始めたのは、夜学に通う平凡な用紙のシュザンヌ。彼氏に作るシュザンヌに憐れみを感じていたベルトランだったが、やがて別れたシュザンヌはベルトランに接近、いろいろと世話を焼くようになる。切なくも残酷な青春の一コマ。低予算で製作されながらも、その後のロメールの作風を決定づける重要な中編。

Bプログラム…10/28(木)18:30
コレクションする女
La Collectionneuse

© 1966 Les Films du Losange

出演:パトリック・ボーショー、アイデ・ポリトフ、ダニエル・ポムルール
撮影:ネストール・アルメンドロス
1967年/フランス/スタンダード/イーストマンカラー/87
画廊のオープンを控えたアドリアンは、恋人からの誘いを断り商談のためにサントロペへ。友人の別荘に滞在する彼は、そこで美しい少女アイデに出逢う。コレクションのように次々と男をひっかけるアイデにいら立ちながらも惹かれるアドリアン。南仏の色鮮やかな風景のもと、自由奔放な少女に振り回される男たちの姿が可笑しみを誘う。撮影監督アルメンドロスが初めて手掛けた35㎜から―長編。
★ベルリン国際映画祭銀熊賞

Cプログラム…10/23(土)16:00,28(木)16:10
モード家の一夜
Ma nuit chez Maud

© 1968 Les Films du Losange

出演:ジャン・ルイ=トランティニャン、フランソワーズ・ファビアン、マリ=クリスティーヌ・バロー
撮影:ネストール・アルメンドロス
1969年/フランス/モノクロ/スタンダード/111
技術者の“私”は、久々に再開した旧友と共に女医モードの家を訪れる。たがに惹かれ合うも、敬虔なカトリック信者で堅物の“私”と無神論者のモードの恋愛観はかみ合わず、奇妙な一夜を過ごすはめに。アメリカでも高くく評価されて全米映画批評家協会賞などで脚本賞を得た秀逸な会話劇。トランティニャンのスケジュールの都合で完成が遅れたが、シリーズ第三作目にあたる。
★全米批評家協会賞脚本賞 ★NY批評家協会賞脚本賞

Dプログラム…10/24(日)14:45、29(金)16:10
クレールの膝
Le Genou de Claire

© 1970 Les Films du Losange

出演:ジャン=クロード・ブリアリ、オーロラ・コルニュ、ベアトリス・ロマン
撮影:ネストール・アルメンドロス
1970年/フランス/スタンダード/カラー/106
別荘を売却するため避暑地アヌシーに赴いた外交官のジェロームは、旧友の作家オーロラと再会。オーロラの口車に乗って、ローラとクレールという美しい姉妹を誘惑することになるジェロームだったが…。結婚を間近に控えたもう若くない男が10代の少女の膝に執心するという一見不道徳な物語だが、あふれ出るユーモアとあっけらかんとした官能性が絶妙なバランスで均衡するロメール美学の白眉。
★ルイ・デリュック賞 ★サン・セバスチャン映画祭グランプリ
★全米秘境家協会賞作品賞

Eプログラム…10/29(金)18:30
愛の昼下がり
L'Amour l'après-midi

© 1972 Les Films du Losange

出演:ベルナール・ヴェルレー、ズズ、フランスワーズ・ヴェルレー
撮影:ネストール・アルメンドロス
1972年/フランス/スタンダード/カラー/98
パリに事務所を持つフレデリックは妊娠中の妻と娘と郊外で暮らす。生活に不満があるわけではないが、どこか満たされない日々。そんなとき友人の元恋人クロエと偶然再会、その日からクロエはフレデリックの元を頻繁に訪れるようになり、彼もまたクロエの魅力に抗えず彼女との関係相夢想する。はじめて既婚男性が主人公のシリーズ最終作。過去作6人のヒロインたちがフレデリックの白昼夢に特別出演している。

〈初長編作品〉
Fプログラム…10/27(水)18:20
獅子座Le Signe de Lion

© 1965 Les Films du Losange

出演:ジェス・ハーン、ヴァン・ド―ド、ミシェル・ジラルドン
撮影:二コラ・エイエ
1959年/フランス/モノクロ/100

叔母の莫大な遺産を相続することになった自称作曲家のピエール。派手なパーティを開いたはいいものの、遺産はすべて彼の従兄弟に行くことが発覚。金の無心をしたくても友人たちはバカンスのため不在、一文無しになったピエールはパリの街をあてもなく彷徨う。ロメールの長編デビュー作にしてヌーヴェルバーグ初期の代表作。クロード・シャブロルがプロデューサーを買って出て、自身の監督作『美しきセルジュ』(1958)で稼いだ資金を投入したが、興行的には失敗に終わった。

〈初期の短篇集〉

Cプログラム『紹介、またはシャルロットとステーキ』(1950年/11分)
Aプログラム『ベレニス』(日本初公開)(1954年/22分)
Eプログラム『ヴェロニクと怠慢な生徒』(1958年/19分
Bプログラム『パリのナジャ』(1964年/14分
Dプログラム『ある現代の女子学生』(1966年/14分
Fプログラム『モンフォーコンの農婦』(1967年/14分