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6/17~【暮らしの思想 佐藤真 RETROSPECTIVE】

暮らしの思想 佐藤真 RETROSPECTIVE

17 年前、49 歳で突然この世を去った稀代のドキュメンタリー作家、
佐藤真。映画史に燦然と輝く傑作の数々が今蘇る。

2024年6月17日(月)~22日(土)※18(火)休館
※作品によって上映日が異なります。

上映作品
「まひるのほし 4K」「花子 4K」「エドワード・サイード OUT OF PLACE 4K」
※「阿賀に生きる」「阿賀の記憶」「SELF AND OTHERS」の上映はございません。

公式サイトhttps://alfazbetmovie.com/satomakoto/


まひるのほし 4K
6/17(月)、22(土)

知的障害者と呼ばれる7人のアーティストの世界を旅しながら、
人と映画はゆっくりと自由になっていく。

©1998 「まひるのほし」製作委員会
監督:佐藤真/製作:山上徹二郎、庄幸司郎/撮影:大津幸四郎/撮影監督:田島征三/録音:久保田幸雄
1998/93分/カラー /DCP(4Kレストア)/スタンダード

表現の快楽、芸術表現の根底に迫る傑作
登場するのは7人のアーティストたち。彼らは、知的障害者と呼ばれる人たちでもある。『まひるのほし』は神戸・武庫川すずかけ作業所、平塚・工房絵、信楽・信楽青年寮で、創作に取り組む彼らの活動を半年以上追い続け、アートと人の間を旅したドキュメンタリー映画である。無我夢中でパステルを画布に走らせるシュウちゃん、「ナサケナイ」とつぶやきながら陶器を作り続ける伊藤さん。そして一人の女性にあてて、あるメッセージを1年間、書き続けたシゲちゃん。撮影したフィルムは40時間にも及んだ。そこには言葉にできない思いが⿁気迫るメッセージとなって溢れてくる。タイトルの『まひるのほし』には“真昼には見えなくてもそこに燦然と輝いている星がある”という思いがこめられている。


花子 4K 6/19(水)

花子と母のアートする毎日。
アーティスト今村花子と、彼女を取り巻く家族の物語。

©2001 シグロ
監督:佐藤真|製作:山上徹二郎|撮影:大津幸四郎|音楽:忌野清志郎/ラフィータフィー|録音:弦巻裕|編集:秦岳志
2001年/60分/カラー/DCP(4Kレストア)/スタンダード

アートを入り口にしたこの映画の出口には家族の日常が広がっていた。
今村花子は家族4人で京都に暮らしている。知的障害者のためのデイセンターに通う毎日を送る一方、週末には油絵描きに熱中し、夕食後には畳をキャンバスにたべものを絵の具のように並べるという日課を欠かさない。花子に寄り添うのは母、知左。花子の「たべものアート」を6年前から毎日写真に撮り始め、その数は2000枚を超えた。そんな母娘の傍らで、定年退職後の父は芝居に三味線にと忙しい。姉の桃子は微妙な距離を保ちながらそんな3人を見守っている。時には花子に手を焼きつつも、日々くり返される今村家の日常。その中で、花子はひとり毎日変わることなく「たべものアート」を作り続ける。一人のアーティスト今村花子と家族が緩やかにつながって暮らす姿が、ときにユーモアをにじませながら淡々と描かれる。


エドワード・サイード OUT OF PLACE 4K 
6/20(木)~22(土)

私の人生を表現するなら、出発と帰還の連続です。
出発は常に不安で、帰りはいつも不確かなのです。——エドワード・サイード

©2005 シグロ
監督:佐藤真|撮影:大津幸四郎、栗原朗、佐藤真|企画・製作:山上徹二郎|協力プロデューサー:ジャン・ユンカーマン
整音:弦巻裕|編集:秦岳志
2005年/137分/カラー /DCP(4Kレストア)/スタンダード

パレスチナの窮状を、真実を、和解と共生の地平を、探る。
2003 年9月、パレスチナ出身の世界的知識人であるエドワード・サイードが亡くなった。後半生を過ごしたニューヨークでもなく、生誕の地であるエルサレムでもないレバノンのブルンマーナに、2004年春、サイードの墓はつくられた。彼の複雑な背景を物語るその墓所のエピソードから、映画は始まる。荒れ狂う濁流のような歴史の中を流されるパレスチナの土地と人々の暮らし。周辺のアラブの国々で難民として暮らすパレスチナの人々。他方、ディアスポラとして⾧年迫害の歴史を生きてきたユダヤ人達。世界中からイスラエルに帰還してきたそのユダヤ人達が抱える、被害と加害の混在する深い矛盾。世界の核心に迫ろうとしていたサイードの精神の在り処を求めて始まった映画の旅は、イスラエル・アラブ双方の知識人たちの証言を道標に、サイードが求め続けた和解と共生の地平を探る。サイードの遺志と記憶を辿る渾身のロードムービー。


©村井勇

佐藤真
1957 年青森県生まれ。東京大学文学部哲学科卒業。大学在学中より水俣病被害者の支援活動に関わる。1981年『無辜なる海』(香取直孝監督)に助監督として参加。1989年から新潟県阿賀野川流域の民家に住み込みながら撮影を始め、1992年『阿賀に生きる』を完成。ニヨン国際ドキュメンタリー映画祭銀賞など、国内外で高い評価を受ける。以降『まひるのほし』(98)、『SELF AND OTHERS』(00)、『花子』(01)、『阿賀の記憶』(04)『エドワード・サイード OUT OF PLACE』(05)など映画監督として数々の作品を発表しながらテレビ作品の編集・構成の他、映画論の執筆など多方面に活躍。主な著書に『日常という名の鏡 ドキュメンタリー映画の界隈』『ドキュメンタリー映画の地平 世界を批判的に受けとめるために』『映画のはじまるところ』『まどろみのロンドン 映画作家の妄想スケッチ』(以上凱風社)『ドキュメンタリー映画の修辞学』(みすず書房)。京都造形芸術大学教授、映画美学校主任教師として後進の指導にも尽力した。2007年9月4日逝去。享年49。


全国共通特別鑑賞券 1300円(取扱6/16まで)
※1枚につき1作品ご鑑賞できます。
特典 ポストカード
   3枚ご購入でポストカード+トートバッグ